☆ 五味と生薬論 ☆
2009年02月04日
けいらく漢方の考え方の一つに、5つの味を考えます。
それぞれの病気を治すときや食養生のときに考える方法です。
①肝・②心・③脾・④肺・⑤腎の5つの臓器にそれぞれ配当されています。
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①
肝者.將軍之官.謀慮出焉.
酸味(さんみ):
有機酸等の酸味がある生薬。
(酸味は収める作用がある)
参考生薬:
山茱萸(さんしゅ)
: 収斂作用(小便の近いのを治す)
五味子(ごみし)
: 収斂作用(鎮咳、気管支の痙攣を鎮める)
収斂作用とは、
排尿器・尿道・気管支の抗炎症作用や、
臓器の異状亢進を鎮める作用がある。
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②
心者.君主之官也.神明出焉.
君火であり、神明を主するので、
意識や感覚障害を来す。
苦味(くみ)(にがい味)
苦味は燥(カワカ)し、よく沈める作用。
配糖体・アルカロイド・苦味健胃作用。
参考生薬:
黄連・黄柏:
胃酸分泌過多の抑制作用。
胃内留水の排出作用。
大黄:下剤作用。
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③
脾胃者.倉廩之官.五味出焉.
胃経と共に後天の原気を主るので、
消化器の病はこの経に属する。
甘味(かんみ)(あまい味)
甘は補養・緩和の作用がある。
参考生薬:
当帰・黄耆 : 元気のない人の強壮剤。
乾地黄・麦門冬 : 増血・ホルモン分泌作用。
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④
肺者.相傅之官.
肺経は主として、
呼吸器病や神経症。
辛味(しんみ)(ピリからい味)
辛味は胃壁を刺激して消化の働きを盛んにし、
更に血液中に入り血行を盛んにして元気を出させる作用がある。
参考生薬:
強い辛味:呉茱萸・辛夷・細辛
:発汗作用・皮膚改善作用。
弱い辛味:香木
:気をめぐらし内臓を穏やかにする。
すなわち、発散作用がある。
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⑤
腎は先天の原気、
即ち生命の根源を蔵す。
生殖、利尿を主する。
鹹味(かんみ)(塩からい)
鹹は和らげ瀉(しゃ)す作用。
参考生薬:
芒消(ぼうしょう):硫酸マグネシュウム。)
芒消: 少量では大便を軟化させ、
大量では瀉下させる。