☆ 腱鞘炎 ☆

2009年08月27日

☆ 腱鞘炎 ☆


鍼灸体験談 ☆ 腱鞘炎 ☆


患者様:女性35歳  

職業:キーパンチャー


主訴:ここ1週間ほど、右手、小指、肘に、痺れと痛みがあり、
   台所でお皿を洗えないほどになっている。
   仕事も3日ほどお休みしている。

病院での診断は「腱鞘炎」とのこと。


副訴: 頭重、首肩こり、目がまぶしい。

証決定: 肝虚証 

本治法:銀の1番にて、曲泉、陰谷 補鍼。
    1~2ミリほど刺入し、押手にて左右圧を50%かけ、気を得て3呼吸目に抜鍼。

患者の感想: 腹胸部が温まり、目や頭がスッキリしてきたとのこと。


標治法:左右の膈兪穴に「ゴマ灸」の透熱灸を3回。


 病症論的考察:血の変動として「腱鞘炎」と捉え、

        腱は肝の司り。肝の血、肝の鬱血、血虚、を考えました。

施灸のポイント。 膈兪穴付近に硬結反応や圧痛が顕著に出る。そこに左右お灸をする。
         肝の血を潤すことで、腱鞘炎を改善できる。
        (東洋はり医学会、臨床経験より)

 
患者の感想:右手、小指、肘の、痺れと痛みが取れている。


効果:右手を動かすと痛みが出ていたが、施術後その場で、腕をグルグル回してもなんとも無いとのこと。


 
臨床考察

ゆっくり堂鍼灸院では、

経絡鍼灸の基本原則いつも堅持します。

① 本治法における施術にて、「人間の生命力の強化」を促す。

② 補助療法(標治法)患者の訴える苦情をより的確に改善し治療満足を促す。


今回の標治法:左右の膈兪穴の「ゴマ灸」は、

左右の膈兪穴の部に明らかな、硬結反応や圧痛を診ての施術です。

また、

古典の局所治療法を生かし現代の経絡鍼灸の施術法についての観点から。

『霊枢』官鍼第七.凡刺有九.以應九變※.「九變(変)に応ずる手法」から。

9種類の刺鍼の手法があります。

一:輸刺.二:遠道刺.三:經(経)刺.四:絡刺.五:分刺.六:大寫刺.七:毛刺.八:巨刺..
そして、
九番目の鍼の手法として、九:焠刺(サイ シ)があります。
焠は「にわかに」の意味

九曰焠刺.焠刺者.刺燔鍼.則取痺也.

「燔鍼(ハンシン)を則て痺を取る也」:

燔鍼は焼き鍼のことです。

『霊枢』經筋第十三.
足の太陽の筋.の文中に「治在燔鍼劫刺.以知爲數.以痛爲輸.名曰仲春痺.」とあります。
これは、「治は、燔鍼、劫刺に在り、知るを以て數(数)を為す、痛を以て輸と為す」
すなわち、
経筋上に病症があれば、痛むところが輸(治療点)となり、
この痛む所に燔鍼劫刺(焼き鍼による速刺速抜)を施す。
その上で所見(痛み)が取れたと知るなら、これが数(治療量)である。

とあります。

そして、

古典におけるお灸の位置づけから。

「鍼は気を調整し、お灸は血を潤す」

お灸の作用は、血の変動、変化からの病状を治す効能があるそうです。


「点穴灸」の手技が効果的です。

「点穴灸」は焠刺(サイシ)の鍼の手法を、

お灸で行う方法です。

経筋上に病症があれば、
痛むところが輸(治療点)となり、
この痛む所に「点穴灸」を施す。
その上で所見(痛み)が取れたと知るなら、
これが数(治療量)である。

お灸の形状は「糸状灸」「ゴマ灸」の透熱灸です。



土日も営業します。

ゆっくり堂

けいらく鍼灸師

山口一誠


平成21年8月27日(木曜日)




 
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