風論の原文と井上先生の訳

2012年03月30日

風論の原文と井上先生の訳

風論の原文と井上先生の訳

一、風論 :山口一誠の分類・考察。

南北経驗醫方大成・病証論を分類・考察する。

南北経驗醫方大成 による 病証論
井上恵理 先生 講義録
の文献を、わかりやすく、まとめて、みたいと思います。

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今回は、「風論」の原文と
井上恵理先生の訳分を全文掲載します。

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「南北経驗醫方大成 一、風論」の原文

風為百病之長。
故諸方首論之。
岐伯所謂。大法有四。
一曰偏枯、半身不遂。
二曰風痱、於身無痛、四肢不収。
三曰風懿者、奄忽不知人也。
四曰風痺者、諸痺類風状。
此特言其大概。
而又有卒然而中者。 

皆由氣體虚弱、
榮衛失調、
或喜怒憂思驚恐労役。
以眞氣耗散腠理不密。
邪氣乗虚而入。

及其中也、
重則半身不遂、
口眼喎斜、
肌肉疼痛、
痰涎壅盛、
或癱瘓不二。
舌強不語、精神恍惚驚愓恐怖。

治療之法。
當詳其脉證推其所感之原。

若中於肝者、
人迎與左関上脉、浮而弦、面目多青悪風自汗、左脇偏痛。 
中於心者、
人迎與左寸口脉、洪而浮、面舌倶赤、翕翕發熱、瘖不能言。 
中於脾者、
人迎與右関上脉、浮微而遅、四肢怠堕、皮肉月閠動、身體通黄。
中於肺者、
人迎與右寸口脉、浮濇而短、面浮色白口燥多喘。 
中於腎者、
人迎與左尺中脉、浮而滑、面耳黒色、腰脊痛引小腹隠曲不利。 
中於胃者、
両関脉並浮而大、額上多汗、隔塞不通、食寒冷則泄。

凡此風證。
或挟寒則脉帯浮遅。 
挟湿則脉帯浮濇。
二證倶有則従偏勝者治之。
用薬更宜詳審。 
若因七情六淫而得者、當先氣調而後治風邪。 
此厳氏至當之論。 

倉卒之際、救此急證、先以皂角細辛、搐入鼻内、通其関竅、
次以蘇合香圓擦牙連進、以生薑自然汁、並三生飲、
俟其甦醒然後、次第以順気之類、排風続命之類。

所中在経絡、脉微細者生。 

入干臓腑口開手散、眼合遺尿、髪直吐沫、
揺頭直視声如鼾睡者、難治。 

又有中之軽者。
在皮膚之間、言語微蹇眉角牽引、遍身瘡癬状如蟲行、目旋耳鳴、
又當随随治之。

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井上恵理 先生の訳:「大成論 一、風論 」

風は百病の長たり。
故に諸方の首に之を論ず。
岐伯の所謂る大法四あり。
一には偏枯、半身遂ず。
二には風痱、身に於いて痛み無く四肢収まらず。
三には風懿(ふうい)、奄忽(えんこつ)として人を知らざるなり。
四には風痺は諸痺にして風状に類す。
此れただ其の大概を言う。而して又卒然として中らるる者あり。

皆気体虚弱、栄衛調を失し、或は喜怒憂思驚恐労役に由(よっ)て、
以て真気を耗散し腠理密ならざるを致し、邪気虚に乗じて入る。 

其の中るに及んで、重き時は則ち半身遂ず、口眼喎斜、肌肉疼痛、
痰涎壅盛(たんぜんようせい)、或は癱瘓(なんかん)不二。

舌強張りて語らず、精神恍惚として驚愓(きょうとう)恐怖。

治療の法。
當に其の脉証を詳にして其の感ずる所の原を推すべし。

若し 肝に中る者は、
人迎と左の関上の脉、浮にして弦、
面目多くは青く風を悪(にく)み自汗し左脇偏に痛む。
 心に中る者は、
人迎と左寸口の脉、洪にして浮、
面舌倶に赤く、翕翕(きゅうきゅう)として発熱し、
瘖(いん)していうこと能(あた)わず。 
 脾に中る者は、
人迎と右関上の脉、浮微にして遅、
四肢怠堕(ししたいだ)し、
皮肉月閠動(ひにくしゅんどう)し
身体通黄なり。
 肺に中る者は、
人迎と右の寸口の脉、浮濇にして短、
面浮かばれ色白く口燥多くは喘す。
 腎に中る者は、
人迎と左尺中の脉、浮にして滑、
面耳黒色、腰脊痛んで小腹に引き隠曲利せず。
 胃に中る者は、
両関の脉並びに浮にして大、額上に汗多く、
隔膜塞がって通ぜず寒冷を食する時は泄す。

凡(およ)そ此の風証。
或いは寒を挟む(兼ねる)ときは脉、浮遅を帯ぶ。
湿を挟むときは脉、浮濇を帯ぶ。

二証倶にある時には偏勝の者に従って之を治すべし。

薬を用いること更に宜しく詳審すべし。 
若し七情六淫によって得る者は先んず気を調えて、
而して後に風を治すべし。
 
これ厳氏が至當の論なり。 

倉卒の際に此の急証を救わば
先ず皂角細辛(そうかくさいしん)を以って
鼻の内に搐(ひね)り入れ其の関竅を通じて、
次に蘇合香圓を以って牙に擦(すりぬり)て
連進するに、生薑(しょうきょう)
自然汁並びに三生飲を以って
其の甦醒(そせい)するを俟(ま)って、
然して後に次第に順気の類、
排風続命の類を以ってすべし。

中る所経絡にあって脉微細なる者は生く。
 
臓腑に入って口開き手散(ひろが)り
眼合(めがっ)し、遺尿し、
髪直(た)ち沫(あわ)を吐き
頭を揺すり直視して
声は鼾睡(かんすい:イビキ)
の如き者は、
治し難し。。。。
 
又、中ること軽き者有り。
皮膚の間に在りて言語微蹇(びけん)し
眉角牽引し、遍身に瘡癬ありて
状蟲(かたち)の行(は)うが如く、
目旋耳鳴らば、
又証に随って之を治すべし。


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2012.3.30-  金曜日・・

 難経を読んで言います。 
一日一難です。
3ヶ月で読み終わる予定です。



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