春の寒もあるんですね

2012年04月23日

二、 寒 論 (1-3 ):山口一誠の分類・考察。

春の寒もあるんですね。 
終わりまで読んでもらえると、
分かってもらえると思います。



南北経驗醫方大成・病証論を分類・「考察」します。

 一、風論に続いて、寒論をを分類・「考察」します。

南北経驗醫方大成 による 病証論
井上恵理 先生 講義録
の文献を、わかりやすく、まとめて、みたいと思います。

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井上恵理 先生の解説と言葉の意味:

 P35下段。・寒邪と動植物より。

『寒は天地殺癘(さつれい)の気なり』
癘という字は、猛威を振るうという意味です。
癘殺の気というものは、最も威力の激しい気であるという事で、
いわいる風寒暑湿燥火(六淫の邪:外邪)のうちで最も激しいのが、
この寒邪であると考えます。
『故に冬に見(あらわ)るる時は氷となり霜となる』
よって、冬になると、水は凍りつき、霜となってしまう。
『草木は之に因って摧敗し』というのは、
寒さの為に枝葉が落ちてまるで枯れた木のように成ってしまうほど全ての発育を停止させ、
来るべき春を待つという姿に成る事をここでは摧敗(さいはい)するといっている訳です。
『鳥獣各(おのおの)巣穴(そうけつ)して以(もつ)って自(おのずか)ら居(きょ)す。』
鳥や獣といった動物たちは、
冬になると巣や穴に閉じこもり、じっとして羽後かにでいつ動かないで居るという事です。

P36上段。・寒邪と人間=内因より。
人間の場合は・・・冬眠はしませんが・・・

『気体虚弱の人或いは調護宜しきを失し』
しかし気体虚弱の人や、
『調護失し』というのは、内因の乱れの事で、
精神的・身体機能的な調和を失った時。という意味です。
『道途に衝斥(しょうせっ)して』
衝とは、突くこと。斥とは、軍隊の斥候の斥で、あちこち飛び回るという意味。
衝斥とは、道をたくさん歩くという意味です。そしてこのような原因があって、
一時に寒気の為に中(あて)られた時に、寒中の症状が出て来ます。

P36下段。・中寒の症状より。

『昏(こん)して人を知らず』とは、昏倒して人事不省に成るという事です。
『口噤(つぐみ)音(こえ)を失し』とは、
凍えてくると口が利けなくなり、
話す事が出来なくなる、という事です。
(注・寒邪に因って三陽経を閉塞するが故に口噤みて開かずと交注にある)

『四肢僵直(ししきょうちょく)し』とは、
手足が固く強張るという事です。
(注・手足は諸陽の本とす。寒邪陽気を撃つが故に僵直す)
『攣急疼痛(れんきゅうとうつう)す』とは、
筋肉の引きつれ、疼き痛みを起すこと。

P36下段。・痛みの虚実:疼痛と痺痛の区別、より。

東洋医学では痛みを疼痛と痺痛に区別して考える。
疼痛とは、うずき・痛みで、実痛で腫脹を併う事があり押すと痛い(圧痛がある)。
痺痛とは、しびれ。痛みで、虚痛で押すと気持ちが良い。
『洒洒として悪寒し』とは、
どんな事をしても悪寒するという事です。
『翕翕(きゅうきゅう)として発熱し、面赤く若しくは汗あり。』とは、
翕翕は、とめども無くの意味で、どんどん熱が高くなり止めようがない。
そして顔があかくなる。若しくは汗が出る時もある。

※ 岡本一抱子はここに疑問を投げかけている。
いわく、中寒は本来熱の出ない証であり、
寒邪を受けて発熱するのは陽気が寒邪によって閉じられた、
いわゆる傷寒の状態であるので、
この中寒の論に発熱の記載があるのはおかしいと。
また、中寒は汗の出ない証でもあると。述べられている。
しかし、
表気の虚損が甚だしい時には「冷や汗」などが出ることもある
と付け加えてある。

『五臓の虚する者は皆よく中(あて)らるる所有り』とは、
 ここは山口一誠の創作です。
南極観測隊の隊員や、マグロ冷蔵倉庫内で働く労動者は超低温冷蔵庫
(温度帯:-60℃~-45℃)の温度帯で働いていますが、
寒邪に中てられるかとうゆうと、そうではない場合が多いです。
だが、一般の人が、20度の冷房の部屋ですごすしたとします。
その人が食事中に突然に箸を落とした・・手がかじかんでいる。とか、
部屋の畳の縁に足先が引っかかり、転倒する。とか、
これはもう、寒に中てられた状態です。
つまり、五臓が虚している人だけが、
寒に中てられるという事です。

P39上段。・寒の脉状より。

『其の脉、多くは遅にして緊』とは、
遅くて緊張した脉という事です。
遅脉は、寒に中てられた時の最も代表的な脉です。第一の特徴です。
緊脉は、細いようで陰にあるのが特徴です。
昔の人は、縄を縒(よ)ったような感じのする脉だと表現しました。
だから、緊張しながら下がる量が少ない。
陰脉だから・・・緊張した
脉とは、脉が「ぴくっ」と出る時の状態をいいます。
緊脉は、陰にあって、細い脉が「ぴくっ」「ぴくっ」と出る訳です。

『風を挟む時は脉、浮を帯び眩暈不二す』とは、
寒邪に風邪一緒になって侵入した場合は、脉は浮を帯びる。
寒風の脉は、浮緊遅の脉:浮いていて緊でそして遅い脈です。
そして、そういった時には、眩暈、つまり目まいを起し、
不二、すなわち身体が麻痺して動かなくなる、
という症状が診られる訳です。
この不二というのは、筋肉の麻痺と考えればいいです。
今の運動神経麻痺と考えてもいいです。
(※ 寒は栄を傷(やぶ)り、風は衛を傷りて、
風寒相兼ぬる時は栄衛ともに損じて不二する也)

『湿を兼ねる時は脉、濡にして四肢腫痛す』とは、
寒邪に湿邪が加わった場合は、脉は儒(じゅ・なん)を帯びてくる。
寒湿の脉は、儒緊遅の脉:儒(やらか)く緊でそして遅い脈かな?・・山考。
濡とは、湿邪を受けた時の代表的な脉で、儒・緩の一つです。
古典では、やわらかいという意味の「なん」には皆この字が使われています。
だから「なんみゃく」といった場合は「儒脉」と書いて「なんみゃく」と読ませ、
また「儒脉」のことを「じゅみゃく」と言っているのです。
『四肢腫痛す』とは、
手足が腫れて痛む。腫痛とは、腫れぼったく成るということです。
腫れて押すと痛む症状が出るという事です。

P41上段。〈脉状〉より。

遅脉は、一息三動以下。 平脈は、一息四動、五動を以っていう。
緊脉は、張っていて弾くが如くという脉。
浮脉は風脉である。 眩暈というも、風の症、肝の症である。 
風木というものは肝の臓に中てられる。
故に肝の邪に応じて眩暈するのだと、
不二にする物は肝の邪が栄を傷(やぶ)る、からである。 
風という物は衛気を傷る。 
寒の邪は守りを傷る、栄血を傷る。 
寒風共に兼ねるが故に栄衛共に損傷するから不二(運動神経麻痺)するのである。
儒脉の脉状は、水面に布を浮かべて、その上から押すような脉である。
非常に浮いた所に、フワッフワッとある脉です。
それから無力の脉です、力のない脉、
これは湿の脉の好んで脾土につくが故に四肢が腫痛するんだと。
〔四肢は脾土の主り〕

P40上段。○ 寒の治療より。

『治療の法、只宜しく薑附(きょうふ)の薬を以って寒気を温散(うんさん)すべし。』
治療の方法は薑附は生姜附子湯の生薬で、全部が補剤です。これで温める方法を取れば良い
という事です。

〔経絡鍼灸論で考えると〕寒の治療は補法であるという事です。

『洒洒として悪寒し』『翕翕(きゅうきゅう)として発熱し、』ていても、

瀉法ではないという事です。

いくら、発熱し、ていても脉証が遅緊脉・浮緊脉・儒緊脉であるなら、
補法を行うという事です。

『切に妄に吐下すべからず。』
切にとは、かりそめにも、どんな時でも、いかなる場合でも、
吐(吐かせること)下(下痢させる)様な瀉法を行ってはいけない、という事です。

P40下段。○ 死候より。

『もし舌巻き嚢縮まる者は治し難し。』

舌巻きとは、舌が咽喉の奥にひかかってしまう。
そして、睾丸がグッと上に入ってしまう。

これは治せない。という事です。


二、 寒 論  井上恵理 先生の解説と言葉の意味:を終わります。


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【参考の脉など・・・】

※ 弦脉とは、緊脉に似ていますが、違うのです。
弦脉は強くて陽にあるのが特徴です。
弦脉は、一つの棒の様な形の脉ですから一本調子で変化がない「ぴゃっぴゃっ」とつき上げるだけですね。

※ 麻木とは、感覚がなくなる事です。

※ 本間祥白先生の「四邪の脉状の詩」(風寒暑湿の脉状の詩)

  「風が浮洪と寒遅緊、暑くて沈伏、湿沈緩」

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○ 季節と身体     

P34上段2行目 ~ P35下段終行目より。

今回は、山口一誠なりの読み方をしていますので、
本文の文言とは細部で違いがありますが、
井上惠理先生の講義の「真」を初学生なりに纏めたものになっていると思います。

「寒」は冬の気でありながら四季に渡って存在し、生体に影響を与えます。―
それぞの季節に寒が存在します。「春の寒」「夏の寒」「秋の寒」「冬の寒」です。

人間の身体は四季の「気」に応じて変化します。

例えば、人体と温度の関係を観察すると、
室内の温度が25度の時、
身体は冬では温かいと感じます。
ところが、炎天下の夏は同じ室内の温度の25度を涼しいと感じるのです。
これが、人間の身体が四季の「気」に応じて変化していることの証明です。
どうゆう意味で、冬ならば零度前後の気温で「冬の寒邪」に中てられやすく成ります。
ところが、夏は20度でも「夏の寒邪」に中(あ)てられる場合もあるのです。
例えば、夏場に仕事疲れがあり、20度の冷房の部屋ですごすしたとします。
食事中に突然に箸を落とした・・手がかじかんでいる。とか、
部屋の畳の縁に足先が自覚症状を感じないで指に力が無くて、転倒する。
とか、これはもう、寒に中てられた状態です。
大成論の寒論の初めに、『寒は天地殺癘(さつれい)の気なり。』と書いてあります様に、

中寒の症状は急に激しく来るんです。

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これで、
南北経驗醫方大成 による 病証論 井上恵理 先生 講義録 
二、 寒 論 を終わります。

※ 詳しくは本文:
  「南北経驗醫方大成による病証論 井上恵理 先生 講義録」
   発行:東洋はり医学会、をお読みください。

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isseiちゃんヨリ・・・

2012.4.23-  月曜日・・

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