☆ お腹の診断 ☆

2010年02月05日

☆ お腹の診断 ☆

腹診


腹診には望診と切診があります。 このコーナーではそれらを総合的に述べます。


1、腹診の診所(診察場所) 図ー1

肝の診所は臍の左下、側腹部、胆経の帯脉穴 より居リョウ穴までの部 。
心の診所は中カン穴の少し上より、鳩尾穴にいたる部。
脾の診所は臍を中心にその下一寸の陰交穴より中カン穴の部。
肺の診所は右肋骨弓(季肋)下の日月穴、腹哀穴 より、臍の右側に及んでやや斜めの位置。
        (左の肺の比較も診断のポイントになります。)
腎の診所は陰交穴より恥骨上際に至る部。


2、腹診の診所(診察場所) 図ー2

☆ お腹の診断 ☆

大腹:肋骨弓(季肋)下から臍に至る部の範囲。
(肺・心・脾の経絡変動を診る)また、中焦と言い営衛の生成(消化吸収)に関係する。
小腹:臍から下、恥骨上際に至る部の範囲。
(腎・肝の経絡変動を診る)また、下焦と言い排泄に関係する。
側腹部:脇の下から股関節に至る部の範囲。

3、腹診の診所を特定するツボ(穴)について。

ツボ(穴)の名前  場所(取穴)   (特徴)        所属経絡

日月穴   期門穴の直下5分に取る.  (胆経の募穴)       第⑪ルート.足の少陽胆経
帯脈穴   章門穴の下1寸8部で、臍と同じ高さの水平線上に取る.第⑪ルート.足の少陽胆経
居リョウ穴  維道穴から環跳穴に向かい下3寸に取る.         第⑪ルート.足の少陽胆経
期門穴   第9肋軟骨付着部の下際に取る (肝経の募穴)      第12ルート:足の厥陰肝経
腹哀穴   大横穴の上3寸、建里穴の外3寸5分に取る.        第4ルート足の太陰脾経
陰交穴   神闕穴の下1寸に取る.                        任脈
中カン穴  神闕穴の上4寸に取る. (胃経の墓穴・腑会)            任脈
鳩尾穴   胸骨体下端の下1寸、神闕穴の上7寸に取る.(任脈の絡穴)  任脈

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4、腹診における望診のポイントについて。

皮膚の色の生気を診ます。(虚実の判定)
皮膚の艶・光沢・病的変化、五色(生色、死色)の分別が重要です。
これは、病気の軽重(虚実の判定)の判定になります。
また、
傷、手術痕、白い斑。 粉をふいた部位。 赤い斑点。 シミ。 ホクロ。大きいホクロの際。 
シワの先端。 シワの交点。 毛穴、毛並み、毛の立つ方向、体毛のない部位。
などをも診ます 。
特に、 肺の診所は左右の肺の比較も診断のポイントになります。
また、
臍の型の診方として、
丸臍型は正気得る型。横臍型は正気虚損。立臍型は正気溢し邪気に変わる型と診ます。

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5、腹診における切診(触診)。

ここでは、腹診全体を述べますので、望診と切診を総合的に展開します。

6、腹診の診察の方法。

① 患者は仰臥位(仰向け)にて、手足を自然に伸ばした状態で診察うける。
② 診察者は患者の左側に位置する。
③ 診察の手順、まず、腹部の望診をします。
   その後、左手にて極めて軽く切診(触診)します。
   切診(触診)の順番は大腹、肺、心、脾、小腹、肝、腎の診所です。
④ 切診(触診)のポイント:大腹と小腹を比較し、各経絡の配当診所につき虚実を診ます。
   「虚」は陥下・冷え・皮膚のざらつき・力なく軟弱・フワフワしている・
   ベタッと触れるところ等です。
   「実」は硬さ・突っ張り感・按じての不快感や痛み・滑りがいい所・等です。

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7、正常な腹部について。

腹診を正確に行うためには、正常な腹部についての理解が必要です。
それは、胸部はその肋骨が滑らかな皮膚と筋肉にて緩やかにおおわれ、呼吸と動悸が静かで和緩を帯び、その胸郭は正しく発育して、胸骨剣尖(鳩尾穴)より季肋部に向かって肋骨弓が正しく発育し(ほぼ90度)、大腹、小腹は虚実・寒温に偏らず潤沢です。

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8、大腹、小腹について。

腹部全体が固く実して、例えるなら、太鼓の皮を押すようなものは実症です。
その極端なものを張満と言い「脾胃の変動」と診ます。
大腹力なく、小腹張り満るものを「上虚下実」と言います。
反対に大腹、張り満ち、小腹力なきは「下虚上実」の腹部と診ます。
大腹、小腹とも陥下し古綿に触れるものは虚腹・軟弱とみて「脾腎の虚」です。
側腹部を押して著しく陥下するのは、「肝気の虚」にして、にわかに中風を起こす場合あり。

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9、動悸(拍動)について。

小腹より動悸せわしく、大腹に攻め上がり息づかい荒きものは「陰虚火動」の症状です。
「腎間の動悸」について、臍下丹田の部に静かに手を当てその動悸を観察し、緩やかにして正しく摶動し和緩を帯びるものを良候と診ます。(寸口脉平にして腎間の動悸絶するは死。)

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次号に続く・・・・



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