十二難は鍼医師の誤った治療を糾弾するものです。
2014年04月03日

難経 第十二難
ゆっくり堂の『難経ポイント』 第十二難 ank012
※ 十二難のポイント其の一、
十二難は鍼医師の誤った治療を糾弾するものです。
※ 十二難のポイント其の二は、
鍼灸師は陰陽虚実の診断を正しくしないと、
反対の治療をして患者を死なせる事があると、
厳しく注意喚起するものです。
詳しくは、こちらのHPの下段の初学者用
経絡鍼灸教科書 難経からご覧ください。
http://www.yukkuridou.com/
難経 第十二難 原文
(『難経』原本は底本:『難経』江戸・多紀元胤著、『黄帝八十一難経疏証』(国立国会図書館所蔵139函65号)オリエント出版、難経古注集成5(1982年)に影印)を参考にしています。
十二難曰.
經言.
五藏脉已絶於内.用鍼者反實其外.
五藏脉已絶於外.用鍼者反實其内.
内外之絶.何以別之.
然.
五藏脉已絶於内者.腎肝氣已絶於内也.而醫反補其心肺.
五藏脉已絶於外者.其心肺脉已絶於外也.而醫反補其腎肝.
陽絶補陰.陰絶補陽.是謂實實虚虚.損不足益有餘.
如此死者.醫殺之耳.
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十二難の訓読
(井上恵理先生の解説:経絡鍼療(425号)と本間祥白先生の解説、福島弘道先生の解説を参考にして、
山口一誠の考察文にて構成しました。)
十二難に曰く。
経に言う。
五臓の脉已(すで)に内に絶するに、鍼を用うる者反(かえ)ってその外を実す。
五藏の脉已に外に絶するに、鍼を用うる者反ってその内を実す。
内外の絶は、何を以ってか之を別たん。
然(しか)るなり。
五臓の脉已に内に絶すとは、腎肝の気已に内に絶するなり。
而(しか)るを医反ってその心肺を補う。
五臓の脉已に外に絶すとは、其の心肺の脉已に外に絶するなり。
而るを医反ってその腎肝を補う。
陽絶して陰を補い、陰絶して陽を補う、
是を実実虚虚と謂い、不足を損じ有余を益すと謂う。
此(こ)の如(ごと)くして死する者は、医之を殺すのみ。
詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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十二難の解説
(井上恵理先生の解釈:経絡鍼療(425号)と本間祥白先生の解釈、福島弘道先生の解釈を参考にして、
山口一誠の考察文にて構成しました。)
十二難の解説をします。
黄帝内経・霊枢・九鍼十二原篇から考察するに。
陰経の脉全体が絶(た)えて無くなっているのに、
鍼医師が反対の治療法を施術してその陽経を補ってしまった。
陽経の脉全体が絶えて無くなっているのに、
鍼医師が反対の治療法を施術してその陰経を補ってしまった。
陰陽の絶脉は何を根拠としてこれを判別するのか説明しなさい。
お答えします。
陰経の脉全体が絶えて無くなっているのは、腎肝の気がすでに無いからである。
しかも鍼医師が反対の治療法を施術して心肺の脉に補法を行ったと。
陽経の脉全体が絶えて無くなっているのは、心肺の脉気がすでに無いからである。
しかも鍼医師が反対の治療法を施術して腎肝の脉に補法を行ったと。
陽が絶しているのに陰を補う、陰が絶しているのに陽を補うと、
実をますます実し、虚をますます虚してしまう。
足らないものを損じ、余っているものにまた加える事になる。
この様な施術をする鍼医師は患者を殺してしまうのみだと。
詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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十二難の詳細解説
(井上恵理先生の訓読・解釈:経絡鍼療(425号)と本間祥白先生の訓読・解釈、福島弘道先生の訓読・解釈を参考にして、
山口一誠の考察文にて構成しました。)詳しくは各先生の文献を参照されたし。
山口一誠の考察により原文・訓読・解説(解説補足)の順に文章を構成します。
〔原文〕十二難曰.
〔訓読〕十二難に曰く。
〔解説〕十二難の解説をします。
〔原文〕經言.
〔訓読〕経に言う。
〔解説〕黄帝内経・霊枢・九鍼十二原篇から考察するに。
〔原文〕五藏脉已絶於内.用鍼者反實其外.
〔訓読〕五臓の脉已(すで)に内に絶するに、鍼を用うる者反(かえ)ってその外を実す。
〔解説〕陰経の脉全体が絶(た)えて無くなっているのに、鍼医師が反対の治療法を施術してその陽経を補ってしまった。
〔解説補足1〕陰経の脉が虚しているのに陽経に補法の手技を行ったと。
〔解説補足2〕正しい鍼治療は、陰経の脉が虚している時は陰経に補法を補わなければならない。
〔第十二難での言葉の意味〕
「五臓の脉已」とは陰経の脉全体と考えます。
「内」とは陰を指します。「外」とは陽を指します。「実」とは補法を指します。
〔原文〕五藏脉已絶於外.用鍼者反實其内.
〔訓読〕五藏の脉已に外に絶するに、鍼を用うる者反ってその内を実す。
〔解説〕陽経の脉全体が絶えて無くなっているのに、鍼医師が反対の治療法を施術してその陰経を補ってしまった。
〔解説補足1〕陽経の脉が虚しているのに陰経に補法の手技を行ったと。
〔解説補足2〕正しい鍼治療は、陽経の脉が虚している時は陽経に補法を補わなければならない。
〔原文〕内外之絶.何以別之.
〔訓読〕内外の絶は、何を以ってか之を別たん。
〔解説〕陰陽の絶脉は何を根拠としてこれを判別するのか説明しなさい。
〔原文〕然.
〔訓読〕然(しか)るなり。
〔解説〕お答えします。
〔原文〕
五藏脉已絶於内者.腎肝氣已絶於内也.而醫反補其心肺.
五藏脉已絶於外者.其心肺脉已絶於外也.而醫反補其腎肝.
〔訓読〕
五臓の脉已に内に絶すとは、腎肝の気已に内に絶するなり。而(しか)るを医反ってその心肺を補う。
五臓の脉已に外に絶すとは、其の心肺の脉已に外に絶するなり。而るを医反ってその腎肝を補う。
〔解説〕
陰経の脉全体が絶えて無くなっているのは、腎肝の気がすでに無いからである。
しかも鍼医師が反対の治療法を施術して心肺の脉に補法を行ったと。
陽経の脉全体が絶えて無くなっているのは、心肺の脉気がすでに無いからである。
しかも鍼医師が反対の治療法を施術して腎肝の脉に補法を行ったと。
〔解説補足〕井上恵理先生の解釈より抜粋。
ここで言う「内外」は手の脉の腕関節から内側・外側と言う意味です。
『難経』ではこう言う区別があるんですね。
前の方を外、後ろの方を内と言って、前後陰陽と言います。
(脉を診るとき)浮かして沈めては浮沈陰陽ですが、関から前・後ろと言うのを「内外」と言う。
いわゆる前後陰陽で心肺は外、肝腎は内です。だから脉から言えば関前・関後と言う意味です。
〔原文〕
陽絶補陰.陰絶補陽.是謂實實虚虚.損不足益有餘.
如此死者.醫殺之耳.
〔訓読〕
陽絶して陰を補い、陰絶して陽を補う、是を実実虚虚と謂い、不足を損じ有余を益すと謂う。
此(こ)の如(ごと)くして死する者は、医之を殺すのみ。
〔解説〕
陽が絶しているのに陰を補う、陰が絶しているのに陽を補うと、実をますます実し、虚をますます虚してしまう。足らないものを損じ、余っているものにまた加える事になる。
この様な施術をする鍼医師は患者を殺してしまうのみだと。
ゆっくり堂の『難経ポイント』 第十二難 ank012
※ 十二難のポイント其の一、
十二難は鍼医師の誤った治療を糾弾するものです。
※ 十二難のポイント其の二は、
鍼灸師は陰陽虚実の診断を正しくしないと、
反対の治療をして患者を死なせる事があると、厳しく注意喚起するものです。
今日も何とか難経12難をアップしました。
鍼灸は虚実に対して補瀉のシンプルな治療法ですが、
その診断と治療の古の教えの深さと、
時代に合った鍼術の技量の進化を、
日々の臨床と古典の学習から、
正姿に未だ至らぬ、遠き道のりとをして、
そして、代えがたい、鍼灸師としての喜びもあると。
唯ひとえに患者さんの自然治癒力にすがりながら、
朗らかに、病の改善を共鳴する日々です。
2014.4.3.
『難経ポイント』一難から八十一難までのHP掲載完成しました。
鍼術の要妙は、秋毫(しゅうもう)にあるものなり。
鍼術の極意は『虚実補瀉』である。難経七十二難。
どうして、鍼の刺入角度が45度で良いのか、その理由は?
当たり前すぎて語られない、鍼灸治療の神髄、難経六十九難。
女性には、腎経の陰谷穴を使えば良いですね。
鍼術の要妙は、秋毫(しゅうもう)にあるものなり。
鍼術の極意は『虚実補瀉』である。難経七十二難。
どうして、鍼の刺入角度が45度で良いのか、その理由は?
当たり前すぎて語られない、鍼灸治療の神髄、難経六十九難。
女性には、腎経の陰谷穴を使えば良いですね。
Posted by やまちゃん at 18:29 | Comments(0)
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